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令和4年度介護労働実態調査結果のポイントを把握しておきましょう
2023年08月30日

「介護労働実態調査」の調査結果が発表

2023年8月21日、平成15年度から続く「介護労働実態調査」が公益財団法人介護労働安定センターより発表されました。

今回は、特に認識・確認しておいた方が宜しいかもしれない情報・データを大きく7点、ピックアップして皆様にお届けいたします。

「さて、この視点において、自社の実情はどうなっているのだろうか?」是非、そのような視点を持ちつつ、目を通していただければ幸いです。




「介護労働実態調査」で特に認識・確認しておいたほうが良いデータ

では、早速、中身に移ってまいりましょう。
まずは1番目、「従業員の過不足状況(職種別)」です。

下記グラフをご覧ください。

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職種別の不足感(=「大いに不足」「不足」「やや不足」の合計)では訪問介護員が83.5%(前年80.6%)で最も高く、次いで介護職員が69.3%(同64.4%)となっており、両方とも前年度を上回る厳しい結果となりました。「不足感」は全体としても 66.3%となっており、前年度の63.0%を3.3ポイントも上回っています。

次年度の法改正にて新サービス(訪問+通所の一体型サービス)の創設が検討されていること含め、人財不足改善に向けたより一層の具体的な実効策が強く求められている介護業界ですが、その一方、「適当」と回答した事業所が全体では33.3%、同「過剰」が0.5%で合計33.8%。「人財は十分間に合っている」と回答している事業所が約3分の1存在していることも認識しておく必要があるでしょう。

続いては離職率に関するデータを確認してまいりたいと思います。
先ずは2番目のデータ、雇用動向調査(厚生労働省)と合わせた、離職率比較についてです。

下記グラフをご覧ください。

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産業全体と比較するとまだ若干、高めの推移となっていますが、労働集約型の他業界と比較すると、非常に低い数値で収まっているところが興味深いところです。

続いて3番目のデータ、「主とする介護サ-ビス別の離職率」についてです。

下記グラフをご覧ください。

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上記表からも分かる通り、「特定施設入居者生活介護」がすべての年度で離職率が最も高くなっています。加えて一点、上記1番目のデータで「不足感」が最も高かった訪問介護(83.5%)ですが、こちらのサービス別離職率においては介護老人福祉施設に次いで2番目に低い離職率となっています。この点、皆様の地域にあてはめて考えてみた場合、どのような仮説が考えられるでしょうか。答は一つではないかと思いますが、是非、皆様なりに考えていただければと思います。

続いて4番目のデータ、事業所単位の離職率についてです。

下記グラフをご覧ください。

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数値は若干前後するものの、毎年同じ傾向として、事業所単位の離職率においては「10%未満」の構成比が最も高くなっています。開設後経過期間等の影響も勿論あろうかと思いますが、それらを踏まえたとしても離職率の低い事業所と高い事業所の「2極化」現象が現実的に起こっている、と捉えて差し支えないでしょう。

続いて5番目のデータ、職種別の離職率についてです。

下記グラフをご覧ください。

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訪問介護員のいる事業所は、「10%未満」が57.2%、「30%以上」が14.7%であったのに対 し、介護職員のいる事業所では、「10%未満」が49.2%、「30%以上」が19.0%となっています。こちらも上記同様、訪問介護の「不足感」のデータと対照させると理が通りづらく感じるところです。是非、皆様なりの現場感覚の中で、皆様なりの整理を試みていただければ幸いです。

続いて最後、6番目のデータ、直前職(介護関係の仕事)をやめた理由のデータについてです(複数回答)。

下記グラフをご覧ください。

https://carebp.com/img_useful/img_136_6.jpg

全体でみると「職場の人間関係に問題があったため」が27.5%で最も多く、次いで「法人や施設・事業所の理念や運営の在り方に不満があったため」が22.8%、「他に良い仕事・職場があったため」が19.0%、「収入が少なかったため」が18.6%、「自分の将来の見込みが立たなかったため」が15.0%と続いています。

また、性別でみると、「収入が少なかったため」「自分の将来の見込みが立たなかったため」両項目の乖離が大きい、という点も要注目かもしれません。他にも様々な示唆が含まれている本グラフかと思いますが、離職率低下を目指す上において是非、様々な切り口から有用と思われる情報を読み取っていただければと感じる次第です。




自社の現状を把握し調査結果と比較することで対応を検討

以上、6点ほどデータをピックアップして概要・ポイントをお届けいたしました。まだまだ様々な視点のデータが公表されておりますので、詳細は下記URLを参照いただければと思います。

介護経営に携わる方や人事・組織づくりに携わる皆様は、自社の現状を把握し、調査結果と比較することにより、様々な気付きや学び、或いは改善のヒント等を得ることが出来るものと思われます。そのような視点で是非、本情報を有効に活用していただければ幸いです。

私たちも今後、引き続き、本テーマを含め、より有益な情報や事例を入手出来次第、皆様に向けて発信してまいります。

※上記内容の参照先URLはこちら

令和4年度介護労働実態調査結果報告書
http://www.kaigo-center.or.jp/report/2023r01_chousa_01.html




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