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6月に公表された「骨太方針2023」のポイントをおさえておきましょう
2023年06月29日

行政舵取りの「羅針盤」とも言える方針が公表

2023年6月16日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針 2023・加速する新しい資本主義~未来への投資の拡大と構造的賃上げの実現」(通称:骨太方針2023)。

2022年度(昨年度)はサブタイトルが「新しい資本主義へ ~課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現~」と表されていたことを考えると、より具体的な“各論”への着手が始まりつつあるような印象も覚えます。

岸田政権の発足以来2度目となる“骨太方針”、同政権があらためて何に注力をしようとしているのか?本方針書の中で、高齢者介護業界に対してはどのような言及が為されているのか?今回は特に事業者として注視すべき部分を抜粋し、お届けしてまいります。




「骨太方針2023」で採り上げられている介護業界に関連するテーマ・トピックス

では、早速、中身に移ってまいりましょう。
先ずは「持続可能な社会保障制度の構築」というテーマのもと、下記のような文章が記載されています(特に重要・関係が深いと思われる箇所については太字としています。以下、同じ。)

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日本が本格的な「少子高齢化・人口減少時代」を迎える歴史的転換期において、今後の人口動態の変化や経済社会の変容を見据えつつ、目指すべき将来の方向として、「少子化・人口減少」の流れを変えるとともに、分厚い中間層を形成し、これからも続く「超高齢社会」に備えて持続可能な社会保障制度を構築する必要がある。第2章3「少子化対策・こども政策の抜本強化」に基づく対策を着実に推進し、現役世代の消費活性化による成長と分配の好循環を実現していくためには、医療・介護等の不断の改革により、ワイズスペンディングを徹底し、保険料負担の上昇を抑制することが極めて重要である。このため、全ての世代で能力に応じて負担し支え合い、必要な社会保障サービスが必要な方に適切に提供される全世代型社会保障の実現に向けて、改革の工程の具体化を進めていく。また、これらに基づいて、最新の将来推計人口や働き方の変化等を踏まえた上で、給付・負担の新たな将来見通しを示すものとする。
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「受益者負担」を原則に、第2号被保険者の負担を抑えようとしていくのか、或いは第1号・第2号共に上昇させつつ上げ幅を抑制させていくのか・・・・後述の通り、「結論は年内に」とのことですので、今後の動向を注視する必要がありそうです。

続いて、「社会保障分野における経済・財政一体改革の強化・推進」という段落を確認してまいります。是非、「自社の未来に反映させるべきポイントは?」という問いを立てつつ、ゆっくりと読み進めていただければと思います。

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医療・介護サービスの提供体制については、今後の高齢者人口の更なる増加と人口減少に対応し、限りある資源を有効に活用しながら質の高い医療介護サービスを必要に応じて受けることのできる体制を確保する観点から、医療の機能分化と連携の更なる推進、医療・介護人材の確保・育成、働き方改革、医療・介護ニーズの変化やデジタル技術の著しい進展に対応した改革を早期に進める必要がある。
(中略)医療DX推進本部において策定した工程表に基づき、医療DXの推進に向けた取組について必要な支援を行いつつ政府を挙げて確実に実現する。マイナンバーカードによるオンライン資格確認の用途拡大や正確なデータ登録の取組を進め、2024年秋に健康保険証を廃止する。レセプト・特定健診情報等に加え、介護保険、母子保健、予防接種、電子処方箋、電子カルテ等の医療介護全般にわたる情報を共有・交換できる「全国医療情報プラットフォーム」の創設及び電子カルテ情報の標準化等を進めるとともに、PHR(Personal Health Record)として本人が検査結果等を確認し、自らの健康づくりに活用できる仕組みを整備する。(中略)健康寿命を延伸し、高齢者の労働参加を拡大するためにも、健康づくり・予防・重症化予防を強化し、デジタル技術を活用したヘルスケアイノベーションの推進やデジタルヘルスを含めた医療分野のスタートアップへの伴走支援などの環境整備に取り組むとともに、第3期データヘルス計画を見据え、エビデンスに基づく保健事業を推進する。リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理の連携・推進を図る。全身の健康と口腔の健康に関する科学的根拠の集積・活用と国民への適切な情報提供、生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)に向けた取組の推進、オーラルフレイル対策・疾病の重症化予防につながる歯科専門職による口腔健康管理の充実、歯科医療機関・医科歯科連携を始めとする関係職種間・関係機関間の連携、歯科衛生士・歯科技工士等の人材確保の必要性を踏まえた対応、歯科技工を含む歯科領域におけるICTの活用を推進し、歯科保健医療提供体制の構築と強化に取り組む。疾患対策、メンタルヘルス対策、栄養対策等を着実に推進する。

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急速な高齢化が見込まれる中で、医療機関の連携、介護サービス事業者の介護ロボット・ICT機器導入や協働化・大規模化、保有資産の状況なども踏まえた経営状況の見える化を推進した上で、賃上げや業務負担軽減が適切に図られるよう取り組む。介護保険料の上昇を抑えるため、利用者負担の一定以上所得の範囲の取扱いなどについて検討を行い、年末までに結論を得る。介護保険外サービスの利用促進に係る環境整備を図る。
医療介護分野における職業紹介について、関係機関が連携して、公的な職業紹介の機能の強化に取り組むとともに、有料職業紹介事業の適正化に向けた指導監督や事例の周知を行う。
次期診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の同時改定においては、物価高騰・賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、患者・利用者負担・保険料負担への影響を踏まえ、患者・利用者が必要なサービスが受けられるよう、必要な対応を行う。その際、第5章2における「令和6年度予算編成に向けた考え方」を踏まえつつ、持続可能な社会保障制度の構築に向けて、当面直面する地域包括ケアシステムの更なる推進のための医療・介護・障害サービスの連携等の課題とともに、以上に掲げた医療・介護分野の課題について効果的・効率的に対応する観点から検討を行う。
勤労者皆保険の実現、年齢や性別にかかわらず働き方に中立的な社会保障制度の構築に向け、企業規模要件の撤廃など短時間労働者への被用者保険の適用拡大、常時5人以上を使用する個人事業所の非適用業種の解消等について次期年金制度改正に向けて検討するほか、いわゆる「年収の壁」について、当面の対応として被用者が新たに106万円の壁を超えても手取りの逆転を生じさせない取組の支援などを本年中に決定した上で実行し、さらに、制度の見直しに取り組む。

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国策の“風”を読み取り、早め早めの準備を

以上、「骨太方針2023」より、介護業界に直接関係のある部分のみを抜粋してお伝えさせていただきました。

繰り返しになりますが、本内容は国全体の舵取りの羅針盤方針的な位置づけであり、それ故、相応の重みを伴なった情報であることを強く認識しておく必要があろうかと思います。

事業者としては上記内容を踏まえつつ、「これらの情報に対し、自社としてどう適応していくか?」について事前に頭を働かせておくことは勿論、内容によっては打ち手や対策を早急に検討・開始していくことが重要だと思われます。是非、本情報を有効に活用していただければ幸いです。

私たちも今後、引き続き、本テーマを含め、より有益な情報や事例を入手出来次第、皆様に向けて発信してまいります。


※上記内容の参照先URLはこちら

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2023/2023_basicpolicies_ja.pdf




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